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■ソニーのヘッドホン「MDR-CD900ST」を買ってみたー!(03/10/13)

サイズ的にちっちゃい訳じゃ無いんだけどね。

 来たるべきgigabeat MEG200Jの大購入に向け、とりあえずオフの日の外出時にもっさり聴き倒す事ができるようなヘッドホンを探していたわけじゃないんですけど、以前ATH-W1000買ったーちゅ事を吉野さんに話した際

「にっちさんコレですよコレ使わずに音を語るなーかーれー」

レベルのテンションで激しくプッシュされたMDR-CD900STを購入。

 このヘッドホンは本来モニター用。日本のオーディオ業界での浸透率が半端じゃなく高い事が(一部好事家達の間ながら)広く知られ、「信濃町仕様」という名称と共に知る人ぞ知る逸品だったものがコンシューマ層のシェアをじわじわと伸ばしながら今に至る…という非常に面白い素性を辿っている商品。
今では一部のオーディオ専門店に留まらず、ちょっとAV関連製品に気を遣っているような家電量販店でもかなりお得めな値段で手に入ってしまうようになっています。
平均実売価格は\17000前後。

 このヘッドホンを聴いた感想としてまず第一に浮かぶのは「音場がえらく狭い」事。
素材の持つ音が素直すぎるぐらい全面に押し出されている結果、耳のすぐ側で音が鳴っている感覚が一般に売られているヘッドホンと比べると数段強いです。また中音域がかなり厚めにチューニングされているため、聴いていると鼓膜を柔らかく押されているような感覚を味わえたりも。
 吉野さんは「耳と脳みそにぎゅんぎゅん入ってくる」という表現を使ってましたが、テクノやらロックやらメタルやらその他諸々のエレクトリカルな音を鳴らす際、下手にイコライザをいじるよりよっぽど強烈な音が貴方の耳に。これ書きながらisのサントラ聴いててちょっと射精しそうになりましたがこれがRezだったら確実に上から下から大騒ぎだったんじゃないかと思った。
 ヘッドホンの性質上、chiptune系のリスニングにもオススメできるかもしれんね。

 あと、モニタ用ヘッドホンとして当然必要とされる「原音を忠実に演奏する力」が仇となる面も多数見受けられました。
 要するに、「本来聴かせなくて良いはずの汚い音」や「調整の甘さが生むノイズや歪み」等、ヘコいマスタリングをかました音源をヘコいまま再生してしまうために聴く音源によっては細かい粗が気になってリスニングどころじゃなくなるのです。特にステレオ化のヘタッピなジャズなんか聴いちゃうと音場の嘘くささが鼻について「二度と聴くかー」と思ったりもします。フロアノイズ(曲のバックで「サー」って音がするアレ)も無用に目立ったりして「コノヤロウちゃんと対策してから市場に出せよ」と叫びたくもなります。…やっぱり駅の構内で売ってる激安CDなんか買うんじゃなかったか。
 逆に、高品質なライブ音源を再生すると音場がハッキリ認識できるだけでなく「ああ、このCDを作った人はこういうポジションで音を聴かせたかったんだな」という意図まで裏読みできたりもします。音自体に広がりを持たせている訳じゃないんであくまでも裏読み止まりなんですけどね。

 全体を通して、目の前で演奏されるんじゃなくて耳元で直接鳴らされてる感じとでも言いましょうか、慣れないウチは薄っぺらいという印象を抱きがちなんですけど、じっくり聞き込んで行くウチにこのヘッドホンが持つ「いやらしい人為的な音の広がりが無い素直な空間」が一つの個性としてハッキリと認知できるようになってきます。
 「音を音のまま聴かせる」という、字にするとやたら抽象的なフレーズを確かな形にしてくれる貴重なヘッドホンだと思います。他のローエンド〜アッパーミドルエンドに渡るヘッドホンを聞き比べようとする際のリファレンスモデルとして、俺もこれからもりもり使っていこうと考える次第。
…ハイエンドになると1本が10万を平気で超えるからなこの世界(;´Д`)それはさすがに。

 とりあえず脱線させずにまとめてみましたよ。

→購入価格…16680円(ダイナミックオーディオ:税抜き)

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