その昔メガドラで発売され好評を博した「パノラマコットン」の流れを受け継ぐ3Dシューティングという宣伝のされ方をしていましたが、3Dシューティングとしてはおろか「コットン」シリーズにも泥を塗りかねない程の酷い出来。爽快感って何ですか。
こっちが使う武器はほとんどノーマルショットのみ。ストック制の魔法もありますが、敵に当たらない上に隙が非常に大きくとても使えたもんじゃないです。また、コットンさんがむやみに大きいため、画面の真ん中にいると敵の弾が見えません。そのため常に動き回りながらの戦闘を強いられてしまい、三半規管の弱い人はビニール袋が必携アイテムになること必至。
「レインボー」とタイトルにある通り各ステージはカラフルな色使いになってますが、たまに出てくる原色の背景は目にも身体にも悪いです。最初見たとき「行けっ!ポリゴン!」のアレを思い出しました。吐血。
純粋にゲーム性のみを評価対象にするなら上の128位も納得が行きますし、よほどコットンが好きじゃないとクリアするのも辛い一品だと思います。しかもムービーの絵が泣きたくなるくらいヘタクソ。そのデッサンの狂いっぷりは「プラネットジョーカー」にも匹敵します。いや、本当に比べられると「案外マトモじゃん」とか言われてしまうのがオチですけども。
…が、レインボーコットンはここで終わりませんでした。たったひとつのアイディア(システム)によって、「ただのクソゲー」から「愛すべきバカゲー」へと華々しい飛躍を遂げたのです。
その名も「愚痴システム(俺命名)」。
時代は次世代夢ハード。自分の行動に茶々が入る「ナビゲーションシステム」はそこかしこで見られるようになっておりますが、さすがサクセス。そんなありきたりなものは導入しませんでした。
愚痴システムはその名の通り、ゲーム中あらゆる場面で「お供の妖精が自分の境遇を愚痴ったりストーリーに関係の無い世間話をする」というもの。その範囲は幅広く、一面スタートしょっぱなでシルクさんがお放ちになる
「はぁ…なんであたしこんなことしてるんだろ」
というこれからのプレーを全否定するような愚痴に始まり、中ボスからステージボス、果ては最終ボスに至るまでノンストップでしゃべり続けます。
ADXフル回転。史上最悪の活用法です。
コットンにおけるオプションともいえるお供の妖精ですが、開始の時点ではシルク一人のみ。残りはステージ途中に現れる土偶の生首みたいな物に捕われており、そいつから助けることによってコットンの手助けをしてくれるようになります。コットンシリーズを一度でもプレーした人にはお馴染みのフィーチャーですね。
んで、仲間が出来てからが愚痴システムの真骨頂。なんと妖精仲間でコミュニケーション環境が構築され、誰かの発言に相槌を打ったりするようになるのです。もちろん主かつプレーヤーたるコットンさんは完全にシカト。
…のしかかる精神的抑圧に耐えられなくなったのか、仲間を無視して一人トークライブを開催する妖精さんもいらっしゃいます。オー人事でしょうか。
実際、妖精同士の会話が成り立っているのにはプレー中にも単純にスゲエと思いました。…が、コレばっかりは実際に聞いてみないことにはなんとも言えんでしょう。
というわけで、いくつかサンプルを用意しました。これがプレー中に流れていると言うことを想像しながら聞いてみて下され。
■サンプル1(458KB)…単体の愚痴
■サンプル2(1138KB)…仲間無視
■サンプル3(782KB)…デブ談義
(レートは低めに設定してあります)
ちなみに、俺が一番気に入ったのはチビリっていう妖精。見た目からしてロリっ子で、その外見に違わず語尾には「でちゅ」が付きます。…「でちゅ」は行き過ぎでは。
シルク:「そういえば、コットンの髪型って…変じゃない?
今時オカッパ頭なんてね」
チビリ:「かっぱっぱーでちゅー」
スラリ:「はぁ…なんてすがすがしい空気なのかしら。
森の木や草原の草花が語りかけてくるようだわ…」
チビリ:「幻聴でちゅー」
スラリ:「無理のし過ぎでお肌が荒れてきたわ…
ちょっとエステにでも行こうかしら…」
チビリ:「大改造でちゅー」
シルク:「あっつーいお茶とお団子が食べたいですねぇ…」
チビリ:「串刺しでちゅー」
バカにしてんのか。
残念なのは、このシステムが完全に井戸端トークにしか使われなかったということ、そして愚痴のバリエーションが案外少ないと言う事ですか。つまらないゲーム部分に対する逃げ道以上の魅力が感じられただけに、もっともっとバリエーションを作れば別の意味で花開いたんじゃないかと思います。非常に惜しい。
対外的な注目度の低さからバカゲーとしても評価をされなかったため、今でもワゴンセールの中でひっそりと助けを求めているこのソフト。
暇と金とドリキャスがある人、ちょっくら助けてみませんか?
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