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■第二回:CHICAGO(03/05/01)

あらすじとキャストとスタッフとその他もろもろは公式サイトでどんぞ。
絶賛公開中につき、ネタバレは最小限に留めております。

 面白かったー。(結論)

 日本での劇場公開直前にアカデミー賞6部門を受賞。
「戦場のピアニストが総なめーとか寒い賞にならなくて良かったわい」という思いと共に、ミュージカル版を見損ねたという悔しい過去も相まったりしつつ見たくてたまらなかった状態で待望の鑑賞…という俺の身辺環境をさっ引いたとしても素晴らしい作品だったと思います。

 さて。
 最近のミュージカル的大作映画っつーと俺の中ではムーランルージュがまず思い浮かぶのですが、シカゴはムーランルージュとも、そしてウエストサイド物語やサウンドオブミュージックといった往年の傑作ミュージカル映画とも少々毛色が違います。テンションはともかくとして、これらの作品が映画とミュージカルを融合させようとしていたのに対して、シカゴの方はミュージカル部分を明らかに違う世界の表現として扱っています。作品内のドラマを写実的に描く一方、要所要所で登場人物の信条や大一番を表現する際の歌は舞台上のセットで華々しく表現する…
 この辺を理解して頂くために必要な語彙が俺の脳に揃っていないので説明が非常に難しいんですけど、ミュージカルシーンにカットインで混ぜ込まれる(作品内における)現実世界の1シーンのタイミングが本当に絶妙。ミュージカルで抱かれがちな「歌がかったるい」とか「幕間のセリフは邪魔ー」といったネガティブなイメージを抱かせる暇を与えず2時間を走りきってしまったという印象が残りました。
 このスピード感は実際に体感してみないと何とも言えませんが、こりゃ確かに映像表現でしか効果を出せないモノだと思います。かといって、楽曲主体のミュージカルを映像化した際によくやらかしてしまう「余計なドラマを挟み込んでテンポが台無しに」という失敗も見られませんでした。緻密を極めた構成力にはただただ感嘆するばかりです。
 じっくり考えれば考えるほどため息が出ます。この映画に無駄な時間なんて1秒たりとも存在しない。そりゃ賞も取るわ。

 基本的に(ついでに個人的に)褒めドコロが満載の作品ではあるのですが、
「映画化」という言葉が生んだ唯一の弊害を残念ポイントとして挙げておこうと思います。

 ミュージカルシーンにおけるゼルヴィガーさんのダンスはもうちょっとどうにかして欲しかった。
ブリジット・ジョーンズの日記と比較するだにこの人は凄い演技派だなーと思うのですが、そして胸も腹もでっぷりというブリジットさんからのダイエットぶりにちょっと萌えたりしたのですが、いやむしろそのナイムネぶりに男の祭りも絶賛開催中だったわけですが、やっぱり舞台が本職なわけじゃないんだなーという当たり前の事実を実感させられるわけですよ。バックダンサーの方が上手かったりします。
 …ただ、そんな中にあって、キャサリン・セタ=ジョーンズさんのダンスにはちょっと感動した。この辺差し引きゼロって感じかもしれません。リチャードギアは言う事無しでした。

 というわけで、面白い上にアカデミー賞効果で上映期間も長そうなこの映画。
DVD化もそれなりに先だと思います。後悔しないように劇場で堪能すべし。

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